示談交渉で要求する権利は二つ！モノと人で権利を使い分けよう

被害者が請求可能な権利は二つ

交通事故示談の交渉の中で、相手から正しい請求をするときには被害者側にどのような権利が存在するのかを明確にする必要があります。

交通事故の状況によっては、弁護士を通したとしても相手に対して請求することができない損害賠償請求権もあるからです。一般的に、交通事故示談の交渉では相手から示談金を貰うために、二つの権利を基準として話し合いを進めていく必要があります。

• 財産の権利
• 身体の権利

損害賠償請求権には上記の二つが含まれており、実際に加害者側に対して権利を行使する際には権利を分けて考えなくてはいけません。

例えば、一般的な損害賠償請求として定義されている権利は上記の中でも財産への権利を意味します。交通事故での財産と言えば自動車が該当しますが、財産への権利を行使したい場合には自動車そのものが何らかの損害を被っていることが条件になります。

一方で、身体への権利として行使可能なのが一般的に慰謝料請求と呼ばれる権利です。慰謝料は、分類的には損害賠償の中に含まれている権利に違いありませんが、財産への権利と明確に区別するために慰謝料請求という名称でわかりやすく定義しています。

交通事故によって被害者自身が怪我を負ってしまったり、精神面を含めた後遺症を負ってしまったときにはこの慰謝料で相手に請求します。交通事故示談においては、これら二つの権利を同時に行使しても構いません。

実際の交通事故では自動車が壊れて怪我を負ってしまう状況も往々にして考えられますので、交渉の際には請求する金額とその内訳を明確にして話し合いをしましょう。

請求が通りやすい権利の使い方

財産への損害賠償請求と慰謝料請求の二つの権利を、被害者側が思ったような金額で通しやすくするためには、その金額が現実的な金額であることが求められます。財産への損害賠償請求と慰謝料請求の法律的な最も大きい違いは、請求金額に上限をつける必要があるかないかです。

例えば、交通事故によって自動車が大破してしまうほどの大事故に巻き込まれてしまったときには、その自動車を修理してもらわないと元の日常生活に戻ることができません。そのため、自動車を修理するための修理費などの諸経費は、加害者や保険会社に支払ってもらうことが可能です。

ただ、財産への権利に関しては損害を被っている相手はあくまでも自動車というモノであるため、人が傷ついてお金を請求しているわけではないという点に注意をしなくてはいけません。財産への権利に関しては必ず上限額が存在し、現実的ではない金額を相手に請求し続けると悪徳な人物として交渉が難しくなってしまいます。

一方で、慰謝料請求に関しては身体上の怪我の度合いによって権利を行使することになりますので、その程度は個々人によって明確に証明しなくてはいけません。個々人の怪我の程度に関しては事故の状況によって大きく変化しますし、中には普通の生活に戻ることができないくらいの怪我を負ってしまうことも考えられます。

自動車の場合とは異なって身体の怪我や精神的な後遺症は千差万別です。そのため、慰謝料請求では法律的な金額の上限はなく、その時の状況に応じて被害者が最も適正であると考える金額を請求できます。こうした財産への損害賠償と慰謝料請求の金額の計算は、示談交渉前に正確に行っておくことが求められます。

特に、実際に交通事故示談の交渉を行う際には弁護士を通して代わりに行ってもらうことになるのが大半なので、被害者側の主張は正確に伝えておかなくてはいけません。被害者が望む形で結果を残すためにも、交渉で利用できる権利の性質を正しく理解して弁護士に相談することが重要です。